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東京高等裁判所 昭和36年(ラ)326号 決定 1962年7月11日

抗告人 長田至弘 外三名

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告理由の要旨は、原決定は「申立人は仮処分決定の当事者でないから、執行吏が仮処分の効力として申立人にたいし当然に本件不動産から退去すべきことを強制し占有を排除しうるとして、点検の上申立人の占有を排除しようとした執行々為は許されない」と判示したが、仮処分制度の存在目的からして執行吏保管中の本件目的物件について申立人がなした執行妨害行為に関しては、執行吏において別個の債務名義を要せず当然退去を命ずることができ、これに従わないときは強制退去の措置に出でることもできるものと解すべきである、というにある。

しかしながら、仮処分決定は当事者に対してのみ効力を有するものであるから、仮処分の執行として執行吏保管中の物件を第三者が占有するに至つたとき、執行吏がみぎ第三者の占有を排除するには、同人に対する債務名義を必要とするものと解するを相当とするが故に、抗告人の主張は採用するに由ないところである。(東京高等裁判所昭和二九年(ラ)第三八三号昭和二九年一〇月二日第一〇民事部決定)

すなわち、本件抗告は失当であるから、これを棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 牧野威夫 満田文彦 渡辺卓哉)

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